メディア芸術科について

メディア芸術科について

1 メディア芸術科の教育目標

 笠間高校メディア芸術科では,電子機器を用いた表現活動を通して,自分の思いや考え,新しいアイデアを,伝えたり発信したりしていく方法を学びます。自分が関わる地域の情報や世界のこと,人々の思いなどを,映像の技術を通してまとめ,発信することで,人と人を繋いだり,その「場」を活性化させることができる人材の育成を目指します。卒業後,メディア芸術科で学んだことを活かし,作家活動をしたり,写真や映像の技術を自分の仕事として地域や社会で役立てたりしていけるようになってほしいと思っています。


どのように学ぶのか? 
 笠間高校メディア芸術科では,映像メディア」について広く学習していくと同時に,カメラ,ビデオカメラ,コンピュータなどの電子機器を扱った表現活動を専門的に学んでいきます。「芸術的な表現力」や「創造力」「豊かな感性」を育みながら
,自分の考えをまとめ,相手へのメッセージを込めた作品を作るための「伝える力」を育てます。

「メディア芸術」とは何か?

 平成13年に成立した文化芸術振興基本法には,「映画,漫画,アニメーション及びコンピュータなどの電子機器を利用した芸術」として「メディア芸術」が規定されています。
私たちが従来イメージしている日本画や油絵,陶芸,彫刻といった「純粋芸術」に対して,コンピュータやデジタルカメラといった電子機器を使って表現した芸術が「メディア芸術」です。

メディア芸術科卒業制作作品(ダイジェスト)


2 メディア芸術科の教育課程について

 「メディア芸術科」では,作品に込めるメッセージの意義や背景などについて学ぶ時間や,一人でじっくりと考える時間,グループで協同して活動する時間や話し合いをする時間を設け,様々な力を育んでいきます。

 
 
 必ず履修しなければならない普通教科は1年次を中心に学びます。特に国語と英語については,単位数を多くし,大学の入試にも対応できるように努めています。 専門科目については,1年次に8単位,2年次に9単位,3年次に11単位と,年次が上がるにつれて時間をかけて学べるようにしています。その他,LHRや総合的な学習の時間も3年間を通して行い,3年間で合計28単位を履修します。

メディア芸術科の教育課程<専門科目の詳細>

1年次
 1年次では,「素描」や「構成」など,映像メディアを学ぶうえでも必要となる,デッサンや着彩などの自分の手で描く美術の基礎を学習びます。同時に,「映像表現」の授業において,コンピュータやカメラといった電子機器の基本的な取り扱い方,静止画や動画の編集ソフトウェアなどの基本を学びます。

 

2年次
 2年次では「写真」「映画」「アニメーション」の三つのジャンルについて専門的に学びます。
 また,本校にある「メディア芸術科」と「美術科」の二つの美術に関する学科を超えて,互いに幅広く触れられるように「他学科選択」という時間を設けています。

 

3年次
 3年次には,3年間の学習の成果としての「卒業制作」に挑みます。授業では自分の考えやメッセージを作品として伝えるプレゼンテーション能力を高め,美術館を貸し切っての美術科・メディア芸術科卒業制作展や、公民館などでのメディア芸術科卒業制作上映会を実施します。

 

軸となる3つのジャンル

写真

写真分野では,シャッータースピードと絞りの関係といった,カメラの基本的なしくみについて理解することからはじまり,光と影の関係,コンピュータによる写真加工,プリントに関しての基礎技術等を学びます。
 また,様々なテーマに基づいた作品制作と作品講評を通して「瞬間を切り取る力」や良い写真を「見分ける眼」を養うことを目指します。

映画

映画分野では,ビデオカメラの基本的な取り扱いや映像の基礎理論を理解するところからはじまり,個人またはグループによるシナリオや絵コンテの作成,映像作品の企画・取材・撮影,コンピュータによる編集,メディアへの書き出しまで,映像制作における基本プロセスを学びます。
アニメーション アニメーション分野では,コンピュータ・アニメーションの動く原理を理解するところからはじまり,シナリオや絵コンテの作成,アイディアスケッチ,コンピュータによる描画,専用ソフトウェアを用いた動画の編集といった,動画制作における基本プロセスを学びながら,コンピュータを用いたアニメーション表現の可能性を探ります。

3「メディア芸術科」の求める生徒像 
 
「社会に広く興味を持つ感受性があり,自分の考えや感じたことを表現しようとする生徒」

「人の意見を取り入れながら,自分の意見や考えを持つことができる生徒」

「コンピュータやカメラなどを用いた映像表現に興味のある生徒」

「将来,Webクリエーターや映像作家,カメラマンになりたい生徒,または映像・写真・アニメーション分野で活躍したい生徒」


「読書や映画鑑賞が好きで,将来映像や物語を創作することに興味のある生徒」


4 メディア芸術科の設備
 メディア芸術科では,最新のデジタル機器や専用のコンピュータを充実させているので,思う存分「映像メディア」の学習に励むことが出来ます。
情報メディア室
(メインマックルーム)
 プロが使用するものと同じ専用ソフトウェアをインストールした最新のMacintosh コンピュータ30台を備え,デザインや映像・アニメーションの編集の学習が出来ます。
now on printing …
メディア学習室
 プロが使用するものと同じ専用のソフトウェアをインストールしたWindowsコンピュータ20台を備え,主に映像や写真の編集をすることが出来ます。
映像編集 
 プロが使用するものと同じ専用のソフトウェアをインストールしたWindowsコンピュータ10台を備え,主に映像の編集をすることが出来ます。
スタジオ室
 
屋外の光や室外の騒音を遮光・遮音し,調光の出来る撮影専用の教室です。専用の照明装置や合成用のグリーンバックなどの機器を備え,本格的な撮影を行なうことが出来ます。
 サブマックルーム
 プロが使用するものと同じデザイン用ソフトウェアをインストールしたMacintosh コンピュータ15台を備え,デザインや写真の学習が出来ます。
 一眼レフカメラやビデオカメラ
 レンズ交換の出来る本格的なデジタル一眼レフカメラやデジタルビデオカメラ等をそろえています。授業ではこれらのデジタル機器を使いながら作品の制作を行ないます。

5 メディア芸術科の学科行事

 修学旅行や文化祭のように,全校生徒が一緒に行う学校行事のほかに,メディア芸術科生だけが参加する学科行事があります。授業で学んだ学習の成果を高めたり,地元地域との関わりの中で自分の力を活かしたりすることができます。それによって,自分の進路について考えたり,メディア芸術への考えを深めたりすることができます。

(学科行事の例)

4月  2年次制作発表会(3年生)
5月  美術系・映像メディア系大学進学相談会(2年生)
8月    夏季実技講習会(全学年)
      夏季大学合宿(2年生)
12月     
 卒業制作上映会(3年生)
      卒業制作展(3年生)
2月
    校外学習・美術館見学会(2年生)
3月  
1年次作品制作展(1年生)
      春季実技講習会(1・2年生)

夏季/春季実技講習会 
 
 外部講師を招いての特別授業を行います。2年次以降の専攻科目を選択するための参考となるよう,また専門分野の技術を向上させることが目的です。

夏季大学合宿

 2泊3日の日程で,大学のオープンキャンパス参加を兼ねながら,映像の基本技術である銀塩写真の撮影・現像・プリント実習を集中して行います。
大学卒業制作展見学
及び美術館見学会
 
  進路研究の一環として,また最先端の映像メディアに触れる機会として,校外学習を行います。
 
卒業制作展
 
  一年間の学習の成果の発表の場として,市内の県陶芸美術館を貸し切り,美術科と合同で展示発表を行います。
卒業制作上映会
 
  3年生が1年間をかけて取り組んできた卒業制作の成果発表として,作品のプレゼンテーションと上映会を行います。
 

 

6 メディア芸術科の活動実績
 メディア芸術科の生徒は,メディアアート部に所属し,各種コンクールへの入賞を目指して日々活動に励んでいます。

・全国高等学校写真選手権大会「写真甲子園2024」優秀賞
・令和6年度笠間市表彰 一般表彰(団体の部)受賞
・全国高等学校総合文化祭美術展覧会 写真の部 全国推薦入選 関東選抜入選
・"世紀のダ・ヴィンチを探せ!"高校生アートコンペティション 写真の部 入選
・エプソンフォトグランプリ2024ヒューマンライフ部門 学生賞
・全国公募「第8回鉛筆デッサンコンクール」優秀賞
・第11回高校生フォトグランプリ 入選
・令和6年度茨城県高等学校総合文化祭美術展覧会 映像部門 デザイン部門 写真部門 入選
・令和6年度県議会広報ポスター図案 写真部門 入選
・第36回読書感想画中央コンクール茨城県審査 入選 
・第48回笠間市民美術展覧会 写真部門 教育長賞 デザイン部門 奨励賞
・内原イオンハロウィンコンクール 動画部門 最優秀賞 優秀賞

7 メディア芸術科の進路実績    

  本学科を卒業した生徒は,高校で学んだ専門的な知識を基礎とし,現場の第一線で活躍のできる技術を磨くため,大学・専門学校等の上級学校へ進学しています。美大,アート系専門学校を中心に,多様な進学実績を残しています。

  種 別 学校名 学部(学科名)※大学・専門は指定校を含みます。
進 学 大 学

秋田公立美術大学 日本大学藝術学部 東京造形大学 
東北芸術工科大学 東京工芸大学芸術学部 大阪芸術大学
文星芸術大学美術学部 奈良芸術短期大学
常磐大学 他

専 門 学 校

桑沢デザイン研究所 東京綜合写真専門学校 日本写真芸術専門学校 日本工学院 
東洋美術学校 東京コミュニケーションアート専門学校 東放学園専門学校
TBC学院 日本デザイナー学院  東京アニメーションカレッジ HAL東京 パリ総合美容専門学校 
文化デザイナー学院 水戸情報ITクリエイター専門学校 水戸日建工科専門学校 つくばビジネスカレッジ専門学校

就 職 小野写真館 (株)正栄デリシイ (株)エフピコ下館  他 


8 よくあるお問い合わせ

Q 美術科とメディア芸術科で迷っているのですが?
A 同じ芸術の分野ですが,違う部分も多くあります。体験入学を実施しいていますので,積極的に参加し,体験して,自分に合っている学科に入学してください。

Q 入学後にパソコンを買わなければなりませんか?
A 学校に最新の機材をそろえてありますので授業課題のために買う必要はありません。個人でもっている分には便利だと思います。

 

Q 学校用タブレットの指定はありますか?タブレットを使用して作画や映像編集はできますか?

 指定はありません。作画や映像編集をタブレットで操作したい場合はデジタル作画に適したペン・液晶のものがオススメです。(学校設備のPCはAdobeソフトですが、学校用タブレットは各自購入・個人管理のため、各自でダウンロードをする必要があります。)

 購入時のタブレット相談やアプリ相談などについても随時対応をしています。

 

Q パソコンに詳しくないと入学できませんか?
A 中学校までに情報などで学習している基本的な操作ができれば充分です。入学後に授業で基礎から学びますので心配ありません。

Q アニメーションの勉強の内容は?
A コンピュータのプログラムを使った2Dアニメーションの実習およびデジタル作画によるアニメーションが中心になります。グループ制作ではなく個人制作の実習となります。各自で適した技法をみつけ、シナリオ・絵コンテ・作画~音楽まで個人制作で表現していきます。

Q カメラを買わなければなりませんか?
A 学校に最新の機材をそろえてありますので、購入しなくても自由に使用することができます。ただし,2年次以降に「写真専攻」を選択する場合には,マニュアル操作のできる一眼レフカメラまたはミラーレスカメラの購入を推奨しています。

Q 授業料は高いのですか?
A 授業料は他の県立高校と同額です。ただし,教科書代や校外学習費用として年額6万円程度を負担していただいています。


Q 家が遠くて通えるか心配です。
A 北は日立市,南は牛久市,西は結城市,東は行方市から毎日通学している生徒がいます。県外から通学している生徒もいます。通学時間が長くて大変ですが,専門的に学びたいという強い意思をもった生徒たちが数多く通学しています。

Q 3DCGの制作をやりたいのですが?
A ソフトとしてBlenderを導入しています。各自で取り組み、制作に活かしています。


Q 将来イラストレーターになりたいのですが?
A デッサンや絵コンテを描く授業がありますが,イラストレーターを目指すものではありません。映像の基本的な知識はイラストレーターになる時にも大事な知識ですが,イラスト自体の学習はできないので,独自で頑張ってください。また,美術大学や専門学校への進学をお勧めします。

Q 特撮映画を撮影したいのですが?
A クロマキーと呼ばれる映像の合成技術について学ぶことができます。初歩的な合成技術になります。


Q ゲームやマンガ・声優の勉強がしたいのですが?
A 授業では取り扱いません。各自で頑張ってください。


Q 絵が苦手なのですが入学できますか?
A メディア芸術科の基礎学習として手描きの作業も重視していますので,1・3年次に素描,全学年で絵コンテ作成の授業があります。基礎から丁寧に教えます。また,各メディア芸術関連への進学対応として講習会や土曜課外等を実施しており,進学の際に必要となる描画力へのサポートを行っております。


Q 実技検査とはどのようなことをするのですか?
A 詳しくは
県教育委員会の発表を参照してください。
  また,実技講習会についてはHPで情報を更新していますので,ご参照ください。